原価公開への挑戦
物の流通にはさまざまな仕組みがありまして、世の中にはまるで手品のようなビックリする値段を出すお店がありますが、高いものはなぜ高いのか、安いものはなぜ安いのか、を詳しく知る機会ってなかなかありませんよね。
高級ブランドバックが5割引とか、食品のタイムサービス7割引きとか。
とある温泉街のお店などは、温泉饅頭を道ゆく人にタダで配っている所もあったのです。
お店です!
難民キャンプの食料配給ではなく、営利目的の商売なのです。
これらはなぜ成り立つの?・・・と考えたとき、
皆様の脳裏にはすでにうっすらとそのしくみが想像できていることでしょう。
決して驚くような想像ではありませんよね。
でもうっすらとなんです。
その安さのはっきりした事情はわからないのです。
その裏に潜むものに危険はないのでしょうか?
損はないのでしょうか?
7割引で売るならなぜ最初から3割の定価表示にしないのでしょうか?
私たち建築業界にもこの手の手品はたくさんありますよ。
なぜ、仕様を変えずに見積もり額から大幅値下げできるのでしょうか?
なぜ、賞味期限もなく注文してから作られる建物が期間限定の格安大売出しできるのでしょうか?
お客様の中には、同じ疑問を建築の中に持たれている方もいらっしゃるのではないか、と思います。
人生の中で一番高額な買い物である住宅と、タイムサービスの食品とで同じ疑問が付きまとっていたのでは、これから長い年月、生活と命を守ってもらう上でとても不安ではないですか?
そこで始めたのが【原価公開】です。
この原価公開って何?に対する答えが、上記の不安を取り除く施工法という訳です。
例えば・・建物の見積もりの中には、大工工事や基礎工事などの実行予算と事務所維持費や電話代などの間接経費があり、その他に設計費、管理監督費、そして会社の利益等々・・・が含まれるのですが、実際に会社の利益○○円、と記載された見積もり書を見た事がありますか?事務所維持費なんて記載のある見積もり書も見ないですよね。でも実際はそれらの費用がどこかに含まれているのです。記載しないのがいけないという事ではなく、それがいくらなのか、を分からずして建物の評価をどう見極めれば良いのか、疑問ですよね。
えっ!総額で比べればいいじゃないかって?
総額では質は見極められませんよ。
不都合なところは伏せてしまうこともあるじゃないですか。
この原価公開、別名【正直公開】と申しまして、千円で提供できるものは千円と書こうよ!わざわざ定価2千円のところを千円、なんて書いても最近の賢いお客様はなんでもお見通しなんですよ、という趣旨です。
とにかく、職人さんの手間からキッチンの卸価格までぜーんぶ当社に請求がくる価格を見積もりに出してしまおうという事なんですよ。
その上で人件費や経費、会社の利益までをお客様に知っていただいて、納得して建物を建てていただこうかと思っております。
ただこれ、けっこうチャレンジなんですよ。
なにせすべてが原価ですから、
少しの失敗でも会社にとっては痛手になりかねません。
慎重に慎重に計画をたてて、確実に一歩一歩こなしてゆくのですが、
それでも工事につきものなのが不測の事態。
どの現場にも何かが起きます。
この不測の事態とどう向き合ってゆくか、
そしてこのシステムがお客様にとってどんなメリットがあるのか、
デメリットをどう軽減してゆくか、
を実際の現場を通してお伝えしていきたいと思います。
次回はこの原価公開着手をアップしますので、ぜひご覧になってみて下さい。
何か新しいものが見つかるかもしれません。