1.あなたの土地に境界標はありますか?
土地は、買ったり、相続したり、また贈与されたりして、自分の物になります。
多くの人は、土地の権利証を手にするまでは、何かと気配りをされます。
しかしその後の管理についてはあまり気をつけられていないようです。
権利証があるから、図面があるから、登記をしているから安心と思っていませんか?。
土地の管理には、まず、
境界がはっきりしていることが必要です。
あなたの土地に、境界をはっきりと示す標識がありますか?
自分の土地は、自分で管理する事が原則ですが、たとえば境界を示す杭がなかったり、せっかくあった杭を動かしてしまったりして、どこからどこまでが自分のものかはっきりしていなかったら、管理するどころか、土地を自由に使う事もできません。境界標がないと売買や建替え、増設等できないこともあるのです。場合によっては境界をめぐるいさかいの原因ともなりかねません。
まずは、ご自分の土地に、杭などの境界を示す標識(しるし)があるかどうか、
それが簡単には動かないようになっているか確認してみてください。
境界標のしるし
境界標は、境界の点や線の位置を表すための標識(しるし)です。
境界標の頭部には、境界点の位置を特定するしるしがついてます。
境界杭には、コンクリート杭・石杭・金属標・プラスチック杭などや、木杭を仮杭(一時標識)があります。
◆コンクリート杭・石杭・金属標・プラスチック杭などがあり下の図の様に頭部がなっています。
◆木杭(仮杭・一時標識)
釘の位置が境界点です。
境界杭事例
2.境界標設置の意義
境界標とは目には見えない境界点を現地で示す標識(しるし)です。
境界標は御影石、コンクリート、プラスチックなどの材質でできた杭で頭部に十字や矢印によって筆界点を示すものや、十字や矢印を刻んだ金属プレート、金属鋲などのことです。
境界標が明確になっていないために、今まで平穏だったお隣さんとの関係が悪化したり、更には事件に発展するなど、悲しい事件が後を絶ちません。
また、土地は代々相続されますので、自分だけが境界を知っているのではなく、第三者にも分かるようにしておくことは、子や孫に対する責任でもあります。
大切な財産である土地の管理は、「境界標の管理」から始まります。
3.土地を正しく管理する3本柱
境界標の確認・設置
自分の土地に境界標が設置されているのかを確認しておきましょう。
土地の取得や管理には、自分が利用できる範囲が明確である必要があります。
図面等があっても、現地に境界標がなければ、第三者には境界がわからず、トラブルの原因になることもあります。
地積測量図の作成
土地家屋調査士が作成した「地積測量図」を保存しておきましょう。
境界標は何かの原因により移動、亡失、破損などをきたし、境界が不明になることがあります。
そのような場合、地積測量図があれば土地家屋調査士に依頼して境界標をもとの位置に復元することができます。
登記
境界標があり地積測量図を保管しているだけでは、十分とはいえません。
現地の状況(地目・地積など)と登記されている記録と異なる点がある場合には、きちんと登記を申請して、現況と登記の記録を一致させておくことが大切です。
登記とは、どこにどんな利用されている土地や建物があり、その面積などがどれくらいか、所有者は誰なのか、所有権以外の権利の有無などを他の人に公示するための制度です。
4.境界標設置の5つの効用
1、境界問題の防止になります。
境界標によって境界が明確であれば、境界問題は生じません。
2財産の侵害防止になります。
境界標によって、自分の土地の範囲が第三者からわかるようになっていれば、侵害の防止になります。
3売買や相続が迅速に行えます。
境界標によって土地の形状や面積が明確であれば、売買や相続を迅速に行うことができます。
4、正確な地図の基礎となります。
境界標を設置することは、登記所の地図に自分の土地を正しく表示する基礎となります。
5、不動産登記制度の充実につながります。
境界標の設置は、正しい登記、正しい地図の基礎となり、不動産登記制度を充実させ、安全な不動産取引につながります。
5.境界標の条件
境界標は、あなたの大切な財産である土地を守ります。土地の管理の第一歩は、境界標の管理から始まります。
1、不動性
境界標が簡単に移動しては問題です。
簡単に移動しないよう堅牢に設置することが大切です。
2、永続性
100年くらいは風雪に耐えうる耐久性のある堅固な境界標を設置することが大切です。
3、視認性
境界標が誰から見てもわかるように、ペンキを塗るなど明瞭にしておくことが大切です。
4、特定性
自分の土地の境界標は、設置状況を写真撮影するなどして、位置を特定できるようにすることが大切です。
5、証拠性
境界標を設置した場合は、境界を確認した経緯が分かるように、関係者間で境界確認書などを保管して、証拠性を高めるい事が大切です。
6、管理性
現地の状況(地目・地積など)と登記されている記録とに異なる点がある場合には、現地と登記記録を一致させておくことが大切です。
6.境界標が無くなってしまう事例
斜面地などで土砂崩れなどによって移動したり無くなってしまう場合。
道路工事や電柱工事又はブロック塀の築造によって無くなってしまう場合。
盛土などによって直接確認できなくなる場合。
車などに踏まれることによって移動、破損する場合
境界標の頭部が破損することによって矢印や十字印が分からなくなる場合
経年変化、腐食などによって破損する場合などが考えられます。
管理の一例として、自分の誕生日、元旦といった特定の日に境界標の状況を再確認する習慣をつけましょう。
また、境界標付近で工事などが行われるときは、境界標が移動したり、無くなったてしまったりしないように、事前に工事責任者に確認するなどの注意をすること、万が一移動した場合には、もとの位置に復元できるような地積測量図(の写し)などを保管しておき、「もしも」のときに備えておく事が大切です。