左官壁のデメリットと注意点
最近では、左官壁というと、
自然素材なので健康に良い・調湿効果がある・ビニールクロスなどとは違った独特の風合い」
といった点を強調しがちである。
そのため、過大の期待をしてしまいがちな人も多く、
施工中の独特のにおいや、養生後に生じるヘアクラックなど、
左官壁ならではの注意点を見落としがちになり、
その結果適さない場所に施工したり、カビが生えてしまったりトラブルに発展してしまう。
注意その1 色
施工直後は水分が多く、色が濃く見えたり、まだらに見えたりする。
まだらに見える原因は、養生中の乾燥速度が場所によって異なるためである。
乾燥し完成後のほうが、色が明るい。
注意その2 におい
施工から養生の間は、独特のにおいを放つ自然素材もある。
リフォームなど住みながらの工事の場合は、どの位におうのかを業者に聞いてみることも大切だ。
注意その3 コスト
比較的高度な施工技術が必要な仕上げなどは、コストもかかってくる。
下地の処理方法でコストが異なるので、その点も詳しく業者と話し合うと良い。
注意その4 ひびわれ
乾燥収縮によるヘアクラックだけでなく、
ドアやサッシを強く開け閉めすることで四隅にひび割れが生じる事もある。
ヘアクラックは、ある程度は設計や施工の工夫で抑制できるが
完全になくすのは不可能だと考えるべきである。
自然素材は本来こうした性質を持っている。
むしろ自然素材ならではの”味”ととらえるべきかもしれない。
注意その5 調湿効果
調湿効果を誤解して、閉め切った左官壁の部屋で洗濯物を干し、乾く事を期待する人もいる。
”除湿効果”とは違う。
水分を吸って風通しなどが悪いと水分を吸った左官壁はカビが生じる場合もある。
家具などと密着しないように家具の配置を壁から少し離すという事も必要である。
注意その6 こすれ・欠け
コテ跡をあえて強調するような仕上げにした場合、
住まい手が壁に手をついたりした場合やカーテンが触れたりして仕上げ面が削れ、
粉じんになる事がある。
窓を閉めがちな寝室などでは、粉じんを吸い込む恐れもあるので注意が必要だ。
ぜん息など呼吸器系の疾患が理由で左官壁に期待している場合は、気をつけなければならい。
出隅は、掃除機などをぶつけたりして欠けやすい部分でタイル張り保護する方法や曲面仕上で欠けにくくする方法があることも憶えておこう。