土地と建物に関係する法律について
土地の利用の制限 土地によって建てられる建物を制限しているのが、
都市計画法という法律です。都市計画法は、健康的で文化的な都市生活が送れるように、土地の利用に制限を加える法律です。都道府県知事が定める
都市計画区域の中でも、今後10年間のうちに優先的に市街化を進める地域を
市街化区域とし、それ以外の地域を
市街化調整区域とします。
市街化調整区域では原則として建物を建てることは出来ません。(いくつかの例外があります。)市街化区域はさらに12の
用途地域に分類され、土地の使いみちが細かく分けられています。
(調整区域における建築制限の例外)
- 市街化区域に隣接又は近接し、市街化区域と一体的な日常生活圏を構成している地域で、概ね50個以上の建築物が連たんしている地域内の土地(都計法43条1項6号イ)
- 市街化調整区域に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更してその区域が拡張された際すでに宅地であった土地であって、その旨の都道府県知事の確認を受けた土地(同ロ)
用途地域の種類 |
住居 |
第一種低層住居専用地域 |
低層住居の専用地域 |
第二種低層住居専用地域 |
小規模な店舗の立地を認める低層住居専用地域 |
第一種中高層住居専用地域 |
中高層住宅の専用地域 |
第二種中高層住居専用地域 |
必要な利便施設の立地を認める中高層住居の専用地域 |
第一種住居地域 |
大規模な店舗、事務所の立地を制限する住宅地のための地域 |
第二種住居地域 |
住宅地のための地域 |
準住居地域 |
自動車関連施設と住居が調和して立地する地域 |
商業 |
近隣商業地域 |
近隣の住宅地の住民のための店舗、事務所等の利便の増進を図る地域 |
商業地域 |
店舗、事務所等の利便の増進を図る地域 |
工業 |
準工業地域 |
環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図る地域 |
工業地域 |
工業の利便の増進を図る地域 |
工業専用地域 |
工業の利便の増進を図るための専用地域 |
建蔽率・容積率の制限
建蔽率とは、建物の敷地面積のうち、建物が建っている部分の面積(
建築面積)の占める割合をいいます。建築面積とは、建物を真上から見たときの面積を指し、建物の外壁や柱の中心線で測ります。建蔽率の制限は、日照・通風・防災などの観点から、街並に一定の空間を確保しようとするもので、用途地域ごとに制限の割合が決められています。
土地と建物の面積の割合に関しては、ほかに
容積率があります。これは、敷地面積に対する建物各階床面積の合計(
延床面積)の割合をいいます。
おおむね、住宅地域では制限が厳しく、商工業地域では比較的緩やかになっています。
これらの都市計画区域、市街化区域、調整区域、用途地域、建蔽率、容積率は、市町村役場の都市計画課などで調べることができます。
(当営業所でも、
都市計画図をご覧になれます。)
道路についての制限建物の敷地(建物が建つ土地)は、法律上の道路に2m以上接していなければなりません。これを
接道義務といいます。法律でいう道路とは、
道路法によって管理されている、国道や都道府県道、市町村道、都市計画事業として作られた道路、開発許可を受けて作られた道路で、幅が4m以上のものをいっています。
しかし実際には幅が4m未満の道に接して家が建ち並んでいる場所はたくさんあります。というのは、接道義務を定めた法律ができる前にすでに建物が建ってしまっていたからです。このような幅4m未満の道で、都道府県、市町村が特別に指定して道路とみなしているものを、
二項道路、
みなし道路といいます。
こうした道路に面した土地で建物を新築したり改築したりする際、道路の幅員を4m確保するため、敷地の境界を下げなくてはなりません。これを
セットバックといい、敷地面積が少なくなってしまいます。
私道においても、幅が4m以上あり、都道府県によって一定の技術的水準を満たしていると認められたものは、道路として扱われます。(
位置指定道路)
建物の高さについての制限
- 建蔽率、容積率だけでなく建物の高さにも制限があります。用途地域、建物の構造、主要骨格部の材質によってもそれぞれ制限があります。その他、都市計画区域内では、4種類の制限があります。
- 絶対高さの制限―――――低層住居専用地域では、最高10mまたは12m
- 道路斜線による制限―――道路の上空の開放感を保つための制限
- 隣地斜線による制限―――隣地の上空の開放感を保つための制限
- 北側斜線による制限―――北側隣地の日照・通風を保護する制限
- 他にも、日影規制や高度地区の高さ制限もあります。
その他の制限
土地建物の利用に関しては、さらにいくつかの制限があります。その一つに、敷地内に建てる
建物の位置に関する制限があります。法律によれば、建築物は原則として敷地境界線から50cm以上離して建築しなければなりません。なお、防火地域、準防火地域における耐火構造の外壁については、このかぎりではありません。
また、低層住居専用地域での外壁の敷地境界線からの
後退距離や、街並や住宅地の環境を保つために設けられる
壁面線による制限、都市火災による延焼のリスクを小さくするための、
防火地域、
準防火地域における規制、
建築協定による規制など、さまざまな制限があります。